手描きの技 筆書き
印刷技術の発展により絵付けの多様化が進みながらも筆による手描きにこだわる器が多数存在する。真っさらな器にフリーハンドで模様が描かれたもの。回転台に器を置き回しながら一気に線が引かれたもの。描く方法はデザインによって様々、そのまま窯元の個性となっている。
印刷技術の発展により絵付けの多様化が進みながらも筆による手描きにこだわる器が多数存在する。真っさらな器にフリーハンドで模様が描かれたもの。回転台に器を置き回しながら一気に線が引かれたもの。描く方法はデザインによって様々、そのまま窯元の個性となっている。
焼く前の柔らかい器の表面に彫りを入れて「しのぎ」と呼ばれる模様をつける技法。生地屋がつくった器を受け取って窯元が「カンナ」という工具で彫りを入れ、釉薬(うわぐすり)を掛けて窯で焼き仕上げる。白磁に模様による濃淡が生まれて独特の美しさを持つ器に仕上がる。
複数の「釉薬」を同じ器に掛け分けることによって装飾する技法。掛けられた「釉薬」が境目で混ざり合い、“にじみ”が出ることで独特の 風合いとなる。色の濃淡や“にじみ”の個体差はすべて手作業によることで生まれる。
焼く前の柔らかい器に「透かし彫り」という小穴をあけて模様をつけ、その模様に透明の釉薬(うわぐすり)を充填させながら器の表面を覆い窯で焼くことで模様を透かす技法。光を通して優しく浮き上がる透かし彫りを、蛍の光にたとえて「蛍手」と呼ばれる。
熊本県天草で採れる縞石(しまいし)と呼ばれる縞模様の陶石がある。その縞は1400万年前にマグマの熱水活動により地下水が流れた跡。鉄分を多く含み器の雑味となるため等級があまり高くない。近年、資源の枯渇を避けるため縞石から鉄分を取り除く技術が開発され白い石が生み出されるようになっている。
磁器に使う石と陶器に使う土を混ぜて作った器を「半磁器」と呼ぶ。土からできた陶器の柔らかい風合いや手触り感はそのままに、石でできた磁器の持つ器の強さを併せ持つ、陶器と磁器の中間的な性質をもつ器に仕上げる素材使いの技術。
約 400 年前に陶石が発見され磁器の生産が開始されるまで、波佐見では土を使った陶器の生産が行われていた。窯元の独自で多彩な技術と個性が特徴の波佐見焼の中には今でも土を使ったものづくりも存在する。